2ニン+ワンHOUSE

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ワンコと暮らす家づくりの記録

裏テーマに沿った家を考える

前回に引き続きネガティブな内容を含みますので、そう言うのがお嫌いな方はスルーしてくださいね。









今回、裏テーマを掲げて家の設計をするにあたって、自分の中でなるべく心がけようと思った事があります。
それは、裏テーマの為だけにお金をかけないと言う事です。
あくまで裏テーマなので、表テーマを犠牲にするような設計であってはならないし、裏テーマの為にわざわざ不要な要素を取り入れる事は避けようと思いました。

昔、あまりにも隣人が鬱陶しいので敷地の南側の塀の上に目隠し塀を増設しようとした事がありました。
我が家のある住宅地は隣地境界は全てブロック塀で区切られているのですが、そのブロック塀の持ち分はこんな感じになっています。

南側の隣地境界ブロックは我が家の持ち分のブロック塀なので、その上にアルミの目隠しフェンスを取り付けようと思ったのです。
我が家の西側のブロック塀の上には西隣の住人が昔設置した目隠しフェンスが付いているので、同じようなものを設置しようと思いました。

ですが、ブロック塀が老朽化していてブロックの上に直接フェンスを取り付ける事はできないので、既存のブロック塀の手前に目隠しフェンスを建てる必要がありますと言われました。
その時の見積額が30万円でした。

この額を見た時にふと冷静になって考えたのです。
どうして嫌いな隣人の為に30万円も払わなければならないのだろうと。
しかも既存の塀の内側に。
隣人さえいなければ30万円もかけて目隠しフェンスを取り付けなくても充分に快適に暮らせる環境なのです。

隣家には道路側は背の高い生垣と門扉で目隠しをしていて南側にも1.6m程度の高いブロック塀が建てられています。
何年か前に隣家の南側に3階建ての建売住宅が建てられた時には、その上に更に目隠しのアルミフェンスが建てられていました。
これは南側の敷地側に建てられたので、たぶん住宅メーカー側が窓からの目隠し用に建てたのだと思いますが。

そして、見える範囲の隣家の全ての窓には簾がかかっています。
このように見るからに閉鎖的な状況から考えると、こちら側一面に目隠し塀を建てると、きっと喜ぶのでは無いかと考えました。
塀があれば窓に簾をかける必要もありませんからね。

それを思うとますます建てるのが腹立たしく感じ、結局当時は塀を建てるのは辞めました。
そのうち家を建て替えようと思っていたのもあります。

そんな事があったので、今回設計をする時は、あくまで表テーマに沿った形で無理なく裏テーマを入れていこうと思いました。



前置きが長くなりました。

さて、我が家の最大の特徴は2階リビングです。
2階リビングを採用しようと思ったきっかけは、同じく2階リビングの友人の家を見て2階リビングである事の便利さや快適さを認識したからです。
その時に同時に、2階リビングだと平屋である隣家の気配を感じにくいのでは?と思い至りました。

旧居では2階に寝室があったのですが、その2階の寝室にいる時は隣人の気配を感じにくいせいか気分良く過ごす事ができました。南側に面する窓を開けて過ごす事もできました。
やはり上下で分かれていると生活音も伝わりにくいのと、相手が視界に入らないと言うのは気分的にも楽だったのでしょう。

この状況を考えたら、2階リビングはやはり今の我が家にはぴったりだと思えました。
生活のメインの場であるリビングやダイニングを2階に持ってくれば、常に隣人の気配を感じずに伸び伸びと生活できます。

今まで何年もかけて数多くの間取りを考えて来たのに、何故ここに思い至らなかったのだろうと不思議に思うくらい2階リビング以外の答えは無いと思いました。


2階リビングで行くと決めたので、次は具体的な間取りや建物の配置について考えます。
まずは新居の配置図面を紹介します。
わかりやすいように隣家も載せてみました。

通常ならば陽当たりを良くする為に敷地に対して建物は北側に寄せて配置する事が多いですが、我が家の場合は南側は必要最低限のスペースしか取らず、基本的には使用しない場所としました。
この場合の必要最低限のスペースとは、南側の隣地境界線から建物の外壁までの距離を1mとした事です。
この1mと言うのは民法上、窓などに目隠しを必要としない距離です。
我が家は2階の南側に面してバルコニーがあるので、このバルコニーの目隠しが必要にならない最低限の距離を取る事にしました。

2階リビングにしてメインの採光を東側道路から取ることにしたので、仮に隣が平屋で無くなったとしても、南側に建物を寄せたせいで部屋が暗くなる心配をしなくても良いのです。

建物を南側に寄せた分、北側には2m程度の空地ができました。この部分を玄関までのアプローチとして利用します。

2階リビングにしてメインの生活空間を2階に持って来たとしても、家への出入りは1階です。
そこで、玄関の位置を建物の北側に持ってきて、道路から出入りする位置を敷地の北側に取る事で隣人の気配を感じにくくしました。
旧居でも玄関は建物の北側にあったのですが、道路に向かって正面に玄関ドアがあったので、隣家の小窓から丸見えだったのと、開け閉めする時のカチャッて音が大きかったせいか、こちらが家を出る時を見計らっていたかのように反応される事がよくありました。

そこで、玄関ポーチには道路の正面側から入るのでは無く、北側から入るようにして、ポーチを壁で囲う事によって玄関ドアが道路から丸見えにならないようにしました。

また、これは隣人とは直接関係ないのですが、旧居では玄関ドアを開けた瞬間に通行人と目が合って気まずい思いをした事が何度かあったのもあって、玄関ドアは直接道路からは見えにくいようにしようと思ったのです。

ただ、壁で完全に囲ってしまって全く見えないようにするのは防犯上良く無いのと玄関ポーチが暗くなるので壁にはスリットを設けました。

建物内の1階の南側にはビルトインガレージを配置しました。
旧居では隣家のすぐ横にガレージがあったのですが、車の出し入れをする時にも隣人の反応を気にして息を潜めるようにして車に乗り込んでいました。
車に荷物の積み込みをする時も、以前にドアの開け閉めの音がうるさいと文句を言われた事があったので、いつもガレージから前の道路に車を出して作業していたのです。
我が家の前面道路は4mしか無いので、家の前にはあまり長く車を停めておけません。

そんな状況だったので、隣人に気を遣う事なく好きな時に荷物が積み込めたり乗り降りする事ができるビルトインガレージは我が家にとっては好都合でした。
ビルトインガレージはシャッターを閉めたままでもバックドアから荷物が出し入れできるように十分な奥行きを確保しています。

そして、一番隣人の気配を感じていた小窓の正面にビルトインガレージを配置する事で、普段の生活の中では隣人の気配を感じなくて済むようにしました。
ガレージは基本的には人のいない空間なので、こちらの生活音が相手に聞こえる事もないですし、こちらもガレージにいる時間はとても短いので、隣人の事を気にする暇もありません。

それでも念の為にガレージ内にも少し工夫をしました。
ガレージ内には採光用の窓を取りましたが、天井付近のはめ殺しのハイサイドライトとする事で、隣家の気配は感じないようになっています。
また、ガレージは通常外部扱いなので断熱材は必要ありませんが、2階にあるリビングへの断熱効果と隣家への遮音も兼ねてガレージの外部側の壁にもグラスウールを充填しました。

ガレージの奥の南側に面する場所には寝室を配置しました。
1階にある部屋は寝室、フリールーム、ドッグルームの3部屋ですが、寝室は基本的に寝る時以外は使用しないので、こちらの生活音が隣人に聞こえる事も無いと考えました。
ドッグルームなんかだと、万が一留守番中に犬が吠えたりした時に困るからです。
基本的にはこちらの生活音が聞こえないと隣人も反応してこないのです。

本当は寝室の窓も南側に面しているところはガレージのハイサイドライトのように天井付近に細長い横スリット窓を付ける程度にしたかったのですが、建築基準法上の居室の採光が確保できなかったので普通の引き違い窓になりました。
ただ、この窓にはシャッターが付いているので今後気になるような事があればシャッターを閉めれば安心かなとも考えています。

寝室に面して隣家の居室と思われる部屋の窓がありますが、ここは普段使用していないのか、常に雨戸が閉められています。
ですので、今のところ寝室にいても隣家の気配は全く感じる事はありません。

2階は南側に面してリビングがあり窓もありますが、密閉性の高い滑り出し窓とハメ殺し窓しか無いのもあって、全く気になりません。
単純な窓と窓の距離だけで言えば旧居の時とあまり変わらないと思うのですが、やはり上下に分かれていて、しかもこちらが上側にいるというのは精神的な感じ方も全然違います。

2階には同じく南側に面したバルコニーもありますが、洗濯は室内干しか乾燥機がメインなのでほとんどバルコニーに出る事がありませんし、出たとしても1mと言うギリギリの離隔距離が功を奏して、覗き込まない限りは隣家の屋根しか見えないので隣人の気配を感じる事もありません。

更に、家が完成して外構工事の段階になって、道路から建物までの間の隣地側に急遽、目隠しの塀を設置してもらいました。
隣人の為だけに塀を建てる事はしたく無いと思っていたので、最初の設計時には目隠し塀は考えていませんでした。
ですが、建物が出来上がった時に南側のブロック塀の古さや汚さが目立ったので後々に塗り直しが必要かなと思った時に、ブロック塀をカバーする形で目隠し塀を建てれば一石二鳥だ!と気づいたのでした。
建物が無い部分だけで良いので、敷地南側の境界線側全てに塀を設置するよりかはコストも削減できました。

この塀は土壇場で付ける事にしたのですが、付けて大正解でした。
これのおかげで玄関から家の外に出ていても隣家が全く見えないので精神衛生上非常に良いです。
しかも結局、工務店側がフローリングの件でご迷惑をおかけしているので…と無料にしてくれましたw


こちらに引っ越してきて2ヶ月近く経ちますが、今のところ隣人の姿はもちろん、気配も全く感じなくなりました。
色々対策を練ったのもあるし、昔の家に比べたら最近の家は遮音性が高くなっているのもあると思います。

我が家の場合は隣家が平屋だったおかげで対策を練りやすかった事も大きかったと思います。
更に、15年間この場所に住み続けた事で家づくりに反映できた事もたくさんありました。
我が家は建て替えだからこそ今の家の形ができあがったのだと思えます。

そう考えると新しく土地を買って新築するって相当難しいですよね。
隣にどんな人が住んでいるかもわからないし、どのような生活スタイルなのかもわからないですものね。

書いているうちに熱が入ってw、あまりにも長くなってしまったので2回に分けようかとも思ったのですが、こんなネガティブな内容を引っ張るのもどうかと思ったので1回でまとめました。
長々と読んでいただきありがとうございました。


さて、ここまでで我が家の家づくりで考えてきた全ての項目を紹介してきました。
次回からはweb内覧会にて実際の我が家の様子を紹介したいと思います。






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